突然の戦乱、ウクライナの女性パイロットたちの無事を願う

ヒトリゴト

2/28。

ロシアがウクライナと戦争を始めてしまったので、色々と気がかりな今日このごろ。ウクライナには世界選手権でお世話になったパイロットが何人もいるし、ロシアには言うまでもなく家族同然に接してくれた友達が大勢いるので、どうしても彼らのことを考えてしまうのでした。
いままでロシアの話が多かったですが、今回はちょっとウクライナにまつわる想い出を。

ウクライナを代表する愛されおばちゃん

いろいろ縁あって、2014-2016頃はヨーロッパで開催される曲技飛行の世界選手権に同行させて頂き、ジャッジラインに立つ光栄に恵まれました。なんで私みたいなペーパー免許のヒヨコががジャッジ補佐などという身分で行けたか?それは完全にタナボタなので別の話に譲ります。。。が、通常は各国のジャッジたるもの国を代表する凄腕パイロットが務めるものであり、錚々たる面々が集うわけです。(当然ながら日本代表ジャッジも世界レベルです!!)

そのジャッジの常連の一人がウクライナのタマーラで、いつも見ても髪をド派手なオレンジ色に染めてる愉快なおばちゃん、といった風情でした。しかし、よくよく評判を聞いてみるとタマーラはウクライナを代表する超絶有名なアクロバット飛行の第一人者だったという。(現地では有名人。ロシア語のインタビュー記事に写真が掲載されてます)。

タマーラの母国語はロシア語で、英語は1ミリも話せません。でも明るい愛されキャラで、関係者誰彼かまわず弾丸トークを浴びせてて、日本人の私にまでロシア語で話しかけてくるのでした。私はそんなタマーラが好きで、ジャッジが食堂に集うときは時々タマーラのテーブルに相席させて貰ってました。何言ってるか分からなかったけど、ロシア語のおしゃべりを聞くのは楽しかったので。

あるとき、ポテトに刻みディルという料理の話になり「ディルは美味だけど、日本じゃ高いんですよ」と言ったら、タマーラが「ウソでしょ!?こんなのベランダに鉢植えしとくだけで無限に生えてくるからわざわざ買うもんじゃないわよあーはははは(≧∀≦)」と愉快そうに話してくれたのが印象的でした。もう完全におばちゃんのノリです。。。なんというか、私にはもう窓際でディルをつまんでるオレンジ頭のタマーラの姿しか思い浮かびません(笑)。

でもそんなタマーラが、ひとたび操縦桿を握ると宙返りとか背面飛行とかハンマーヘッドとか平気でやっちゃうわけですよ。それも優秀な成績をおさめるレベルで。(目の前で演技を見たから間違いない)
ちなみに、ウクライナ代表で来てた女性操縦士はタマーラだけではなく、他にも数名いました。他国は男性パイロットばかりなのに、ウクライナは同レベルで戦える女性パイロットが勢揃い。めちゃくちゃ女性パワーがすごい国だなと思いました。

外交力で根回しひとすじ、したたかな野心家

もうひとり、オルガという英語堪能なウクライナ人のジャッジ補佐がいました。もちろん彼女も競技パイロットのひとりです。どういうわけか我々日本チームが気に入ったらしく、移動のバスでもしょっちゅう話しかけてくれるのでした。すぐに仲良くなりましたが、観察してるとどうも様子がおかしい。日本チームと相部屋になりたいとか、日本チームのジャッジ補佐をやりたいとか、ちょっと普通ではないお願いごとをしてくるのです。

なんか変だな、と思ってオルガを観察していたら、だんだん分かってきたことが。。。
彼女は英語ができる上にすごく社交的で、各国の代表とも親しくやりとりしているのですが、どういうわけか自国ウクライナの代表とはあまり和気あいあいという感じではなく。もちろん現場ではウクライナチームの一員としてしっかり働いているのですが、休憩時間になると他国のチームを渡り歩いて、英語で話に花を咲かせています。

どうも、オルガは彼女のボスであるウクライナの女性ジャッジ(ガリーナ)と採点の意見が合わないようでした。しかし、英語がさっぱりできないガリーナを尻目に、彼女だけ英語堪能というアドバンテージを活かして諸国のキーパーソンに「次回は私にジャッジをやらせて欲しい」と根回しをしているっぽい。いやいや、さすがに世界選手権の舞台でそんな抜け駆けは無理だよ。。。ちゃんと自国で推薦を受けて選抜されないと。(^_^;)

。。。とまあ事情は複雑そうでしたが、オルガは私達とすごく親しくしてくれて、お互いプライベートな話もたくさんする仲になり、大会が終わったあとも毎年クリスマスになるとお祝いのメールをくれたりするのでした。ある年なんか、日本人ジャッジ&私の2人にお手製のお人形(すごく手の込んだやつ)をくれたほどです。さすがに、誰にでもそこまで親切にしてるとは思えない。。。

オルガは抜け目ないしたたかな女性ではあったけど、我々日本人に対しては損得抜きで親近感を持ってくれていたのかなあ、と思うことにしてます。まあ、できれば同じチームのガリーナとも仲良くして欲しかったけど、外交手段を駆使してまで代表として活躍したいという意気込みはアッパレでした。彼女のことも、嫌いじゃありません。

みんな無事でありますように

さて、今になって無事を祈るタマーラ、オルガ、(ガリーナも)ですが。。。
ひとつ感じるのは、どこの国でも飛行機乗りというのはめちゃくちゃ愛国者が多いということです。それは、航空機の歴史そのものが国防と深く関わってきたからかも知れません。タマーラやオルガ達が、戦時にウクライナ国内にとどまる選択をしているかどうかは分からないけど、その可能性はあるように思います。たとえばタマーラなんかはロシア語ネイティブだからロシア寄りである、とは一概には言えないと思うのです。これは2016年にたまたま撮った競技者としてのタマーラの後ろ姿ですが、彼女のフライトスーツも含めて色をみてほしい。

ウクライナ国旗色の競技機とオレンジ髪のタマーラ (Aug. 2016 Radom Poland)

余談ですが、ロシア人もウクライナ人も民間レベルでは本当に仲が良かったということは付け加えておきたいと思います。同じ言葉が通じるのだから、当然かもしれない。たとえばロシア人の友達のナイルは、ウクライナ周遊できたことが人生最大の旅行だったと嬉しそうに話してくれたし、ウクライナ人のタマーラだってロシアのサポートを得てパイロット人生を歩んでたりするし、あの複雑そうなオルガでさえロシア代表とはとても仲良くしてたし。

まあ、私が目撃したのは本当に浅い一面にしか過ぎないと思うけど、やっぱりウクライナとロシアは切っても切れない深い繋がりがあるように感じたのです。いままで友好的にやってきて、互いに友達や親戚が暮らす国だからこそ、国家都合での理不尽な殺し合いなんかしたくはないのではないかと。それでもウクライナがロシアと戦うのは、一方的な暴力に甘んじることが双方のためにならないからでしょう。

これは私の主観だけど、いまのところウクライナは決してロシア人が憎くて応戦しているわけではないように感じられます。だとしたらこんな悲しい戦いってあるだろうか。いずれにしても、いまやタマーラやオルガ達がこの戦乱の当事者であることに変わりはありません。どうか無事でいてほしい。

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naochka

長年IT業界でWeb+デザインをやってました。いまはWordPress中心です。やや技術的な話が多いですが、なぜか世界中あちこち放浪してた関係でたまに想い出を綴ってたりもします。 Wall Street Journalを読む会の英語ナビゲーターやってます。(実は帰国子女)

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