WordPressでブログ始めたい人のために、収益系ブログと個人系ブログを比べてみた

WPビギナー

WordPress方面では「日記ブログはやっても無意味」などとよく言われますが、前提を知らずにそこだけ聞くと、まるでブログに良し悪しがあるように感じます。なぜそんな話になるのでしょうか?ここでは、WordPress界であまり話題にならないタブー(?)の領域に、少し光をあててみようと思います。

ブログの方向性は大きく分けて2種類

逆説的ですが、ブログ未経験者が一発目からWordPressを選択すると、却ってブログでできること全体を見渡しにくくなることがあります。たとえば書店のWordPressコーナーに行くとブログで稼ぐ方法論は並んでるけど、それ以外のブログ運用方法を紹介する本はあまり置いてない、といった感じです。

そんなブログ界ですが、実際には大きくわけて2つのアプローチがあります。ひとつは稼ぎたい人がやる収益系ブログ、もうひとつは自己表現のための個人系ブログです。どちらも同じブログではありますが、運用ポイントが異なります。どう違うか見ていきましょう:

収益系ブログ

まずは収益系ブログですが、どんな記事を書くかというと「読者が求めている記事を書く」のが鉄則です。アフィリエイトでは成約報酬を狙うので、検索流入してきた読者(=顧客)がポチりたくなるように書くのが理想ですし、アドセンス中心に稼ぐブログであっても、ユーザーの検索意図に応える記事を書く必要があります。

これは裏を返すと「自分語りの主観ブログでは大きく稼げない」という事です。理由は、主観ブログだと検索上位に行けず、大きな検索流入が望めないから。そもそも芸能人でもないブロガーのどうでもいい日記で大量アクセス発生とか、基本ありえません。収益系ブログではそれだと困るわけです。

なので、「日記ブログはやっても無意味」というのは、収益系の文脈で語られるものです。大きな検索流入と広告収入の最大化が前提なのです。

個人系ブログ

一方、個人系ブログのほうは、何らかの形で自分語りをしているブログだと思ってください。たとえば、日常を綴る日記ブログや、個人的な趣味のブログなどです。(ここでは店長ブログ・社長ブログのように、経営者が発信するビジネスブログも個人系に含みますが、それについては後述します)

じつは、こうした自分語りで独自路線を開拓してる人は、無料ブログ方面にはたくさんいます。たとえば「アメーバブログのニッチなジャンルでファンを集めて、有料勉強会に集客できている人」とか「Bloggerの旅行記ブログを元に、自費出版した本を問合せフォームひとつで売りさばいてる人」などがそうです。

もちろん、こうした小さな成功をおさめてる個人系ブロガーは、ガチの収益系ブロガーのように億単位で稼いだりはしてません。よくある日記ブログの場合、アクセス数は1万PV/月に届かないものが殆どでしょう。
だけど、好きでやっている個人ブロガーは「書くのが楽しくて仕方ない」という充実体験が執筆の原動力になっていて、そういうブログほど熱心なファンを獲得していることがよくあるのです。

個人ブロガーにとって、ほんの数人でもファンがつくことのインパクトは計り知れないものがあります。それだけの人々を動かせるポテンシャルは、なかなか手に入るものではありません。
そこに健全なマネタイズの発想が加われば、よりよい形でファンとの関係を強化することが可能です。具体的にいうと、物販・イベント・バックエンド商品などに繋げられる道が、ブログひとつで開拓できるということです。

収益系ブログ:検索流入が収益を左右する

ちなみに、もともとは私自身が趣味ブロガーでした。執筆することが楽しかったうえに、マニア友達もたくさん出来て最高すぎたので、やってる当時はマネタイズなどという発想は1ミリも思い浮かばずでした。WordPressに引っ越ししてからも「こっちはやけにアフィリエイターが多いなぁ」と不思議に思っていたくらいです。

同じブログ畑なのに、無料ブログとWordPressでこうも方向性が違うのはなぜなんだろう?。。。と考えていましたが、その理由は単純で、数あるブログツールのなかでもWordPressが最もマネタイズに適しているからです。ほとんど元手をかけずに収益化が狙えるとしたら、多少設定が面倒でもWordPressを選択したくなりますよね。

月1万稼ぐのに何PVを必要か?

しかし。。。
いかにWordPressがマネタイズに向いていようと、ゼロからスタートで月1万円以上の収益を出すのはそんなに簡単ではありません。参考までに、いくら稼ぐのに何PVくらい必要か?という表を貼っときます:

これを見ると、アフィリエイトの場合でも月間で最低1万PVは必要とのこと。そのくらいなら個人ブログでも達成できなくはない数字ですが、これが10万PVとか100万PVとかになってくると、さすがに検索流入メインにしないと厳しいでしょう。

収益系ブログの書き方とリスク

そして、それだけ大量の検索流入を集めるには特定のキーワード(の組み合わせ)で検索結果の上位表示を狙わなければならず、SEO対策が必須になってきます。また、アフィリエイト成約率を高めるためにマーケティングも駆使しなければなりません。近年ではGoogle検索アルゴリズムのアップデートによって特定のジャンルに特化した専門ブログが優先されるようになり(E-A-T重視)、参入ハードルが上がっている状況です。
こうなってくると、ブログのほうも完全にお仕事ライティングとして取り組む必要があります。

それだけではありません。収益の大半が検索流入に依存しているということは、将来Googleアップデートがあった時に大きく順位が変動するリスクもあるということです。たとえば、いままで検索トップだった記事が突然2ページ目以降に落ちたらどうなるでしょうか?こんな事件は過去に何度もあり、そのたびにSEO界隈がざわつくという事が繰り返されてきました。

ちなみに、現在インフルエンサーとして活躍しているつよつよブロガーの皆さんは、こうした危機を幾度も乗り越えてきた猛者ばかりです。億単位で稼いでる人は、それなりに桁違いの努力をしてきたからこそ結果を出し続けているわけです。そのうえ稼ぐノウハウまで公開してくれているわけですから、もはやリスペクトしかありません。

収益を目指す vs. ファン育成を目指す

ところで、そんな収益系ブログでファンを獲得することはできないのでしょうか?

結論いうと難しいです。理由は、収益系ブログの特徴のひとつが、記事に主観を入れないことだから。自分が書きたいように書いてはダメ、とも言われます。
これは「読者の期待を満たす」&「検索エンジンに評価される」を突き詰めた結果なので、検索流入を増やす大きなアドバンテージになっています。

しかし、収益系ブログのアドバンテージは、個人系ブログではそのまま弱点になります。要するに、まったく書き手の人となりが見えない記事というのは、ファン獲得の観点からみるとかなり厳しいということです。

たとえば、あなたが調べ物で検索上位に出てきた記事(=収益系ブログ)を開いたとき、そのブログを書いた人が誰なのか気にしたことはあるでしょうか。ほとんどの場合、知りたい情報に辿り着いたら、ブログ名さえ見ないで離脱するのではないでしょうか。このように、検索流入のユーザは「調べ物をしている一見さん」が大半なので、ファンになってもらえる可能性は低いのです。

要するに、収益化(=検索流入増)を目指すか、ファン育成(=ロイヤリティ増)を目指すかは、おおむねトレードオフの関係にあるということです。どちらを選ぶかはブロガーの自由なので、自分が楽しみながら継続できる道を選ぶのがベストだと思います。

WordPressブログで自分語りしたっていい

ここまで、収益系ブログと個人系ブログという2極があるという話をしましたが、大当たりを狙わないのであれば、両者が重なる中間ゾーンを行くという選択肢もあります。つまりWordPressで自分語りをしながら、応援してくれる少数のファンを大切にする、というやり方です。

そういう個人系のアプローチは本来、アメブロなどの無料ブログでも十分できます。そこを敢えてWordPressでやることで、無料ブログにはないマネタイズ方面の恩恵も受けられるようにするのです。

個人ブログ+小さな収益化

たとえばアドセンス広告の導入ですが、これはほぼWordPressユーザの特権と言えるでしょう。(理由:アドセンスは無料ブログのURLではほぼ審査通らないため)。
もちろん、月間1万PVを切るサイトでのアドセンス収入といえば良くて数百円といったところですが、それでもプラス収益です。そもそも無料ブログを使った場合、広告収入はサービス企業に吸い取られて何も残らないので、その分を自力回収できると考れば悪くありません。

もうひとつは、アフィリエイトの導入です。といっても、収益化ブログのようにマーケティングを駆使して成約を狙う記事を書くのではなく、あくまでも自分語りの文脈で、使った商品やサービスを紹介していくような形です。簡単なところではアマゾン・アソシエイトから手軽に始められますし、慣れてきたらA8.netなども視野に入れると紹介の幅が広がります。50PV/日以上が続くあたりから、少額ながらもコツコツと報酬が発生するので、やってみると意外と面白いです。

優良ファン獲得までの道のり

でも、そんな小銭稼ぎよりもっと大事なことがあります。
個人系ブログの本当のアドバンテージは、自分を応援してくれる優良ファンを獲得できることです。そして、自分に共鳴してくれる人々を集めるには、人となり・考え方・取り組みなどが伝わる記事を書き続ける必要があります。それを楽しみに見に来てくれるような読者が少しずつ増えることで、ブロガー側も執筆が楽しくなるという良好なサイクルが生まれます。

スタート段階では、とりあえず自分が書きたいように書きます。どのみちブログ開設直後はまったく読者がつかないので、コンテンツの質を気にするよりも、継続して書く習慣をつけるほうが先決です。(まったく宣伝せずに続けたとしても、そこそこ記事が溜まった状態で数ヶ月経つとGoogleにインデックスされてポツポツとアクセスが入ります)

すこし読者がついてきたところで、自分語りを深堀りする(役立つ人生経験)とか、耳よりな話をシェアする(役立つ情報)などして、コンテンツの質を上げていきます。すると、それらの記事が心に刺さる読者が現れはじめます。コメントはすぐに返信して交流を深めます。それでブログをブックマークしてもらえたら、ひとまずリピーター獲得です。

そういうリピーターが徐々に増えると、更新を楽しみにしてくれる人が育ちます。ポイントは、自分のブログが何らかの形で彼らの役に立っていること。(共感したり、勇気をもらえたり、目からウロコにワクワクしたり)。さらに、ブロガー本人に関心を持って貰えるところまで行けば「自分を応援してくれる優良ファン」と言ってもいいでしょう。

健全なマネタイズとはどんなものか

こんなふうに応援してくれる人々が増えてきたら、そこから健全なマネタイズにステップアップすることで、自分もまわりも幸せになるサイクルを築く土台ができます。これが、目先の収益では測れない価値です。

健全なマネタイズというのは「相手が幸せになって、自分も幸せになる」ようなマネタイズです。相手を騙してお金を巻き上げるなど論外ですが、むしろ善意に基づく失敗のほうが気づきにくく病的かも知れません。個人系ブログあるあるの不健全な例をみてみましょう:

たとえば読者からメール・コメント欄に寄せられる大量の質問に対し、無償奉仕で親身にアドバイスし続けて寝不足になるような自己犠牲の運用は健全とはいえません。いくら読者をハッピーにしても、自分が不幸になるようではNGです。

このケースを健全にマネタイズするのであれば、まず無償対応・有償対応の線引きをきっちりすること。専門性の高い話は有料で個別対応するなどの仕組みをつくることで、一般読者とロイヤルなファンを区別できるようになります。しかも、払った金額を上回る価値を提供できれば、生涯に渡ってリピートしてくれる信者になってもらうことだって夢ではありません。

それ以外にも、有形/無形のモノを売ったり、有料イベントを開催したり、書籍化したりと、マネタイズする方法はたくさんあります。いずれの場合も「顧客がハッピーになるだけでなく、自分もハッピーになる形」にもっていくことが大事です。

ビジネス用の個人ブログは強力な販促ツール

最後にもうひとつ。
個人ブログの上位バージョンに、ビジネス用の個人ブログというのもあります。たとえば自分が経営している飲食店や美容室のブログとか、税理士や弁護士や医者などの専門分野のブログがそれです。名刺にブログのURLやQRコードを印刷したり、SNSからブログに誘導したりして、リアル+SNS+検索流入のハイブリッド運用をします。(このブログもそうです)

こちらは自分のプロフェッションを綴ることで、「この人のお店に行きたい」「この人に仕事を依頼したい」と思ってもらうことが目的です。日記ライクに綴るのもよし、専門事例で固めるのもよし。こちらも、書き手の個性を出しつつ、ファンを獲得して受注に繋げるという流れになります。

ブログそのものの収益はゼロでも、それで受注できた時の金額を考えれば、ブログ運用は十分にペイするといえるでしょう。しかも、ほとんどお金をかけずに24時間無休の営業マンを雇えるようなものです。

ほかにも、ブログはストック型の資産になるので、記事を蓄積すればするほどロングテールで検索結果に表示されやすくなる、という利点もあります(※)。上手に運用することで、ビジネスの強力な販促ツールに育つのも個人ブログの魅力です。
※ただし専門ブログの場合、YMYL領域など注意すべきジャンルもあります。

まとめ:ライバル不在の道を選ぶこともできる

近年のコロナ禍+副業ブームで、WordPressに興味を持つ人が増えてきています。
ところが最初は夢いっぱいでも、実際に運用開始したところで「こんなにキツくて稼げないとは思わなかった」とガッカリして更新をやめてしまうのが一番残念なパターンです。

そうならないよう、私が主催しているWordPress講座では収益化について現実的な数字をお伝えしています。メリットばかり言ってブログ参入を勧めたところで、結局は誰も得をしないからです。

その一方で、自分の好きなことを楽しく綴るブログにも価値がある、という話もしています。たとえ少数であっても、自分を応援してくれるファンがついてくれたら、それこそ一生モノの財産になるからです。
誰ひとり同じ人生を歩んできた人はいません。だからこそ、自分語りをすることでライバル不在のポジションが築けるのです。それは、検索ワードで上位を争うような競争とは無縁の世界でもあります。

収益系ブログ個人系ブログ
参入しやすさ★★★★★
継続しやすさ★★★★★★
広告収入★★★★★
ファン獲得★★★★★
流入経路主に検索流入 (10万-100万PV)主にリピーター (1万PV未満)
収益系ブログ vs 個人系ブログの比較

もちろん、個人ブログでファンを獲得する道のりも楽じゃないです。できれば週イチ以上のペースで記事を更新したほうがいいし、それも年単位で継続する必要があります。大変は大変なのですが、自分が書きたいことを書くのでストレスなく楽しく続けられる、という意味ではアドバンテージがあるのではないでしょうか。

今回紹介してきたとおり、ブログの表現力は無限大です。インフルエンサーの「日記ブログには手を出すな、主観で記事を書くな」といったアドバイスも収益化では重要だけど、日記ブログでファンを獲得できる人までがその言葉に縛られる必要はありません。

なので、いまいちど自分に向いたブログのあり方を検討していただき、ぜひとも長く続けられるブログを育んで欲しいと思ってます。

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naochka

長年IT業界でWeb+デザインをやってました。いまはWordPress中心です。やや技術的な話が多いですが、なぜか世界中あちこち放浪してた関係でたまに想い出を綴ってたりもします。 Wall Street Journalを読む会の英語ナビゲーターやってました。(実は帰国子女)

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