第9回 Wall Street Journalを読む会:金融引き締めでも現金を有利に働かせるには

イベント

5/16。

5/15に開催した「第9回 Wall Street Journalを読む会」の開催報告です。(正式名称:第9回 ウォール・ストリート・ジャーナル(英語版)を読んで、英文読解力と経済・金融・ビジネスリテラシーを向上させる会)
なんとリピーターさんに囲まれ総勢9名!の楽しい会になりました。ご参加ありがとうございました(≧∀≦)
※WSJを読む会についてはこちら

今回の記事:アメリカは、インフレ対策として始まった政策金利の上昇で既に株価は下落し、景気後退も懸念されています。そんな中、現金を少しでも有利に運用するにはどうすれば?というお話。
Making Your Cash Work Harder as Interest Rates Rise
(いつもは有料記事ですが、この記事は最後まで読めます)

ファイナンシャルアドバイザーを信じるな

この記事はアメリカの金融商品の話をしているので、日本の我々が同じ恩恵を受けられるわけではないですが、普段あまり気にとめてこなかった「インフレ」や「金利」について考えるにはピッタリの内容でした。

ざっと背景を説明すると、アメリカではいま前年度同月比で8%超えというとんでもない勢いでインフレが進行していて、さすがにやばいと思ったFRBが慌てて政策金利を上げて(金融引き締め)、景気の過熱感を抑えようとしている状況です。そうなると株価は下がるということで、ローリスクで少しでも利回りの良い運用先を探している人が増えてきています。

Financial advisers often recommend ultra-short-term bond funds and bank-loan (also called floating-rate or senior-loan) funds as if they were substitutes for cash. They’re not.

The Wall Street Journal:Making Your Cash Work Harder as Interest Rates Rise

そんななか、「ファイナンシャルアドバイザーの連中はよく “預金代わりならこの商品がいいですよ” と言って、超短期債券ファンドやらのローリスク金融商品を勧めてくるけど、そんなの現金の代わりにはならないよ!」と、記事の冒頭で釘を刺してます。どうしてでしょうか?

理由は、そうしたファンドに企業の社債が含まれていること(しかもときには投資不適格級のジャンク債)、このたびの金利上昇の影響を受けて価格が下がりやすいこと、もっというと、多くのファンドが0.5%を超す手数料を課していることなど。実際、超短期債券ファンドは今のところ平均で0.9%値下がりしていて、これが現金代わりになると言うのは厳しそうです。

じゃあ、どうすればいいのか?という話ですが、今の金利上昇局面で記者が推している投資先の話が4つほどありました。もちろんアメリカの話なので、日本からでは買えなかったりもしますが、それより大事なのは「どうして今の状況だとその投資がおすすめなのか?」の理屈を知ることだ思うので、駆け足で紹介します。

1. インフレ対策済の貯蓄債券「Iボンド」

まずIボンド。これは記者イチオシだけあって、すごいです。
平たくいうと、インフレ対策済みの物価連動貯蓄国債になります。具体的には、インフレの指標である消費者物価指数(CPI)に半年おきに連動しています。その結果、今なら前年比8.5%もの物価高を反映して、向こう6ヶ月の利回りは9.6%だとか!これはほとんど10%です。つまり、いま10万円でIボンド買ったら、11万円近くになる計算です。

Next week, the Treasury will announce its latest rate on inflation-protected savings bonds, or I bonds. The annualized yield for the coming six months will likely be 9.6%.
Yes, that’s 9.6%, nine point six percent.

The Wall Street Journal:Making Your Cash Work Harder as Interest Rates Rise

記者のツヴァイク氏も「9.6%、9.6%、9.6%だよ!!」と3回繰り返し言っちゃうくらいですから、現在のIボンドのフツーじゃなさが伝わってきます。

しかも、そんな高利回りだったら元本保証なんて無いに決まってるでしょ?と思ったら、まさかのアメリカ政府による「元本全額保証」つき。うそお。しかも、Iボンドの利息は所得税から免除されるとか何とかいろいろ優遇されており、アメリカ人だったら買っただけ絶対損しないやつです。

そんな夢みたいな国債、みんな借金してでも買うでしょ…となるに決まってるので、そこはちゃんと制約があって、一人あたり年間の購入制限が1万ドル(約130万円)とのこと。そして最低でも1年は保有する必要があり、しかも5年未満で売却した場合は3ヶ月分の利息が没収だとか。いずれにしても、長期で預金しておく事を思えばどうってことはない制約です。

Iボンドは “inflation-protected savings bonds” の略ですから、その名の通り、今のようなインフレ時代に力を発揮する国債なんですね。こういう強気な国債を売りに出せるアメリカの底力を感じました。
(残念ながら日本からは買えませんが…)

2. 米短期証券(T-Bill)を自動で再投資

さて、2番目に紹介されていたのは3ヶ月ものの米短期証券(これも国債、別名T-Bill)です。これはその名の通り3ヶ月で満期になるので、満期になるたびに自動的に再投資するようにしておけば、時勢に見合った利回りに更新され続ける、というわけです。しかもこれを、毎月同額で買い増ししてぐるぐる回す作戦まで紹介されてました。

といっても、こちらの3ヶ月もの米短期証券の利回りは現時点に限って言えば0.82%だとか。先程のびっくり国債のIボンドに比べると比較にならないほど開きがあるのですが、それでも銀行預金よりは全然イイですね。

3. 短期金利に追随できるETF

いくつかのETF(上場投資信託)は、上昇する短期金利に便乗できるようになっているものがあります。そのひとつであるウィズダムツリーETFの例ですが、これは米財務省が発行した変動金利の債権を保有しているファンドなのだとか。そして実際に支払われる変動利回りは、最新の3ヶ月 の米短期証券(前述のT-Bill)の公開にあわせて毎週リセットされるそうです。

このETFもまた、時が経つうちに利回りが政策金利に近づくように平均化されるというもの。現在の利回りは0.5%だそうですが、もし短期金利が上昇し続ければそれに追随していくことでしょう。

4. 高金利の預金口座間で自動預け替え

最後に面白いと思ったのがこれ。MaxMyInterest.com(以下マックス)というサービスで、なんと預金者に代わって複数の銀行口座の預け替えプロセスを全自動化してくれるそうです。各口座は25万ドルまで連邦預金保険公社によって保証されており、預け先はどこも高利回りの貯蓄預金口座がある銀行となっています。

マックスは銀行ではないので、この預け替えサービスは預金者の現金には一切手をつけることはないそうです。ただ顧客の預け入れ金と預金保険が最適な組み合わせになるように送金リクエストしてくれるのだとか。日本では聞いたことないサービスです。アメリカにはいろんなビジネスがありますね。

なぜいまローリスク投資の記事が読まれるのか?

今回のWSJ会の解説で、主催トレーダーさんから「インフレに強い資産、弱い資産」の紹介がありました。そしてインフレに強い資産として、株や投資信託などが挙げられていたところで、素朴な疑問。
「今のアメリカみたいに8%超のインフレだったら、迷わずインフレに強い株や投資信託を買えばいいのでは?」

ところが、今の状況だとそうはいかないのだとか。
今年の3月からFRBが金融引き締めで政策金利を引き上げた結果、アメリカの株価は大きく下がっています。ガチのトレーダーは腕の見せどころかもしれないけど、一般市民はそんな下げ相場の株は怖くて手を出せません。かといってインフレは続いてるので、銀行預金や普通の債権とかだと価値が目減りしていってしまいます。

そこで消去法で投資先を絞った結果、債権のなかでもインフレに強い物価連動債を買おう(IボンドやT-Bill等)とか、金利の上昇にしっかり追随するETFや貯蓄預金を選ぼう、みたいな話になるわけです。いまになって、このような守りに入る記事がアメリカ人に読まれているのは、そういう時事問題を反映していたからなんですね。

そういう私は、ほぼ銀行預金しか持っていないという。。。orz
いくら日本がそこまでインフレじゃないとはいえ、ここまで書いてきて、一番ダメなパターンを実践していることをひしひしと実感した次第です。とほほ


次回のWSJ会は6/19開催予定です!
遊びに来てね〜♪
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6/19開催分:
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naochka

長年IT業界でWeb+デザインをやってました。いまはWordPress中心です。やや技術的な話が多いですが、なぜか世界中あちこち放浪してた関係でたまに想い出を綴ってたりもします。 Wall Street Journalを読む会の英語ナビゲーターやってます。(実は帰国子女)

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