第7回 Wall Street Journalを読む会:すでに波乱含みだった市場にウクライナ侵攻が追い打ちをかけた件

イベント

3/21。

3/20に開催した「第7回 Wall Street Journalを読む会」の開催報告です。(正式名称:第7回 ウォール・ストリート・ジャーナル(英語版)を読んで、英文読解力と経済・金融・ビジネスリテラシーを向上させる会)
またもや参加7名の大盛況でした。英語+経済に関心の高い方の参加が増えてきて嬉しい限りです。皆様、ご参加ありがとうございました!
※WSJを読む会についてはこちら

このたび敢えて投資家向けのハードめな記事をセレクトしました。ロシアによるウクライナ侵攻の3日後に公開されたもので1ヶ月近く経っていますが、それでも記事の内容は色褪せていません。
Ukraine Crisis Upends Investing Playbook for 2022
(注:有料記事なので先頭しか見られません)

大事件の全部盛りが一度にきた

記事のタイトルには「ウクライナ危機が2022年の投資シナリオをひっくり返す」と書かれていますが、実はあまりウクライナの話は出てこないです。そもそも開戦直後の2/27の記事なので、分析材料も限られていたことでしょう。それでも、ウクライナ侵攻が即座に世界市場の混乱に影響を与えたのは確かであり、そういう意味でも貴重な記録といえそう。

Global markets for everything from stocks to oil to wheat are recording some of the most extreme price swings in decades, a sign of investor unease over unpredictable economic and political dynamics.

The Wall Street Journal:Ukraine Crisis Upends Investing Playbook for 2022

興味深いのは、当時のマーケットがすでに特異な状況に置かれていたにも関わらず、戦争がそこに追い打ちをかけたという構図です。上記は冒頭の一節ですが、株価・原油・小麦などあらゆるグローバル市場が、ここ数十年の間でもっとも極端な価格変動を記録したといいます。開戦の前後で具体的にどんなことが特異だったかというと:

  • アメリカのインフレ率が40年ぶりの高水準に達しており問題となっていた。
  • インフレを抑制するため、FRBの金融引締めが秒読み段階だった(市場は神経質になっていた)。
  • 原油価格については、すでに2020年ごろから価格が上昇し続けている状態だった。
  • ウクライナ侵攻直後、ロシアの株価は歴史的な暴落を記録。価格が1/3にまで下がった。
  • ウクライナ危機で、原油・小麦・ニッケル・アルミニウム等が近年まれにみる高騰。

なんというか、今までひとつの問題だけでも大騒ぎになっていたような事が、いちどに全部盛りでドーン!と押し寄せた感じです。あまりにも衝撃が大きすぎて、もはや新型コロナのパンデミックなど問題として認識されないレベルまで来てしまった感があります。

ちなみに、アメリカのインフレ率がえらいことになって「もうすぐFRBが金融引き締めやるよ!みんな衝撃に備えよう!」という話はWSJ会でも去年の秋頃からずっと話題にのぼっていたし、原油価格の上昇も報道されてはいたので、そこまでは既知の問題でした。(ちなみに、長らく恐れられていたFRB利上げのほうは3月中旬にやっと決行となったものの、お手柔らかな0.25%にとどまったようです…)

しかし、今回のロシアによるウクライナ侵攻、前兆はあったものの「合理的に考えて有り得ない」とされる動きだったうえに、明らかに世界レベルで経済に影響が出ています。日本をふくめ、世界中のあらゆる国々がロシアに最大級の経済制裁を課して抗議する事態にまで発展したわけですが、そんな事をして我々も無傷でいられるわけありません。いままでロシアが供給してきた資源の供給が制限されることで当然価格は高騰します。日本もガソリンや食料品の価格上昇が始まってますね。。。

転んでもタダでは起きない投資家

ただ、記事を読んでいて思ったのは「投資家の皆さん、したたかだな〜」ということ。
確かにウクライナ侵攻の衝撃によって米国市場はここ2年の上昇相場で初めて10%もの下落に見舞われました。しかしさすがアメリカ市場、戦争に動揺して底なしに暴落することはなく。。。逆に、様子見していた投資家たちが「よっしゃ!だいぶ安くなったから今のうちに買っとこう!」という具合に、市場にどっと戻ってきたそうです。

Yet as U.S. stock indexes touched their lows of the week Thursday morning, a familiar pattern began to reassert itself. Many investors jumped back into the market, scooping up shares of the growth and speculative stocks that fell out of favor this year.

The Wall Street Journal:Ukraine Crisis Upends Investing Playbook for 2022

上記にあるとおり、みなさん転んでもタダでは起きないというか、ふつうに考えたら滅入りそうな下落相場をみて「お買い得になった!」と判断するあたり、実にポジティブだなあと思いました。結局、記録的に下落した相場が、これまたわずか2日ほどでV字回復し、最終的にマイナス分を埋め合わせてプラスになった!という話が書いてあったんですけど、両極端にダイナミックな動き。皆さんほんとにやり手ですね。。。

WSJ記事から読み解く投資のヒント

とはいえ、それは短期間での話です。こんな混乱した事態になって投資家も先が読めずに困惑している様子もうかがえます。そんななか、今回のWSJ記事でとくに取り上げられていたのは「バリュエーションを見る」という話でした。つまり、企業の価値に対して株価に割安感がある銘柄を探し始める人が増えたらしい。

バリュエーションについてはカシワさんから詳しい解説があったので省きますが、今回の記事をみるかぎり、過去2年間の上げ相場で不人気だった銘柄(過小評価されている企業)に再び注目が集まっているようです。

その一方で、機関投資家の動きに関する発言などを見ていると、どうもこの度の大変動を見極めていちはやく利益確定に走ったところが多そう、という印象を持ちました。たとえば昨今の原油価格が高騰している折にさっさとエネルギー関連銘柄を売り払ってしまうとか、そこで手にした資金を使ってテック銘柄に投資するとか。

ちなみにWSJのマーケット記事は多くの場合オチがなく、ただ淡々と市場周辺の事実がレポートしてあるだけです。そこからどういうヒントを読み取れるかが、読者リテラシーの見せ所とのこと。今回のケースでいえば、情報持ってる機関投資家がこのタイミングでポートフォリオをごっそり組み替えたのはなぜ?と深読みすることで自分自身の投資判断に役立てるとか。面白いですね。

最後にどうでもいい話。
今回、久々にゴリゴリの経済記事でした。これを執筆したグンジャン・バネルジ(Gunjan Banerji)記者、きっと超硬派なオジサマだろうと思っていたら、実際はモデルさんみたいな美人のお姉さんだったという。。。(≧∀≦)


次回のWSJ会は4/17開催予定です!
遊びに来てね〜♪
↓↓↓↓

4/17開催分:
第8回 ウォール・ストリート・ジャーナル(英語版)を読んで、英文読解力と経済・金融・ビジネスリテラシーを向上させる会

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naochka

長年IT業界でWeb+デザインをやってました。いまはWordPress中心です。やや技術的な話が多いですが、なぜか世界中あちこち放浪してた関係でたまに想い出を綴ってたりもします。 Wall Street Journalを読む会の英語ナビゲーターやってます。(実は帰国子女)

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