10/16。
10/16に開催した「第14回 Wall Street Journalを読む会」の開催報告です。(正式名称:【初参加無料】第14回 お金の知識が身につく英字新聞を読む朝会!英語脳を鍛えよう! )
前回お知らせしたとおり、WSJ会は次の第15回で終了する予定なので、今回を入れて残りあと2回!!となりました。いつも参加してくださる皆さんから「もっと続けて欲しかった」というコメントを頂き、予想以上の高評価だったことに一同感激しております。11月の最終回も頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします!
※WSJを読む会についてはこちら。
今回の記事:ここ最近かなり顕著なドル一強状態です。なぜドルだけがそんなに強いのか?その理由はアメリカ発のイノベーションにある、というお話です。
Why Is the Dollar So Strong? American Innovation
(これは無料記事なので全文読めます)
世界の覇権を握るドル、この11年間で40%も上昇
おなじみのJames Mackintosh先生のコラムです。いつもは辛口ですが今回は珍しく肯定的で、しかも分かりやすい切り口でした。出だしはこんな感じです:
The dollar is having a once-in-a-generation surge of supremacy over the world. After 11 years and a 40% gain on a real trade-weighted basis, some are starting to wonder if it is time for a fall.
The Wall Street Journal:Why Is the Dollar So Strong? American Innovation
現在、ドルが「一世代に一度あるかないかの盛り上がり」によって世界的に覇権を握っている状況です。なんと、この11年でドルは40%も上昇しているそうです。だから一部の投資家が、そろそろドルが下落するのではないかと考えはじめるのも無理はありません。
短期的にはドルが今より安くなってもおかしくないといいます。ヨーロッパ諸国がエネルギー高騰という経済的脅威を乗り越えつつあることと、ヨーロッパの中央銀行(ECB、イギリス等)がアメリカのFRBの利上げラッシュに追随する動きを見せたことが引き金となり、ドルを買い続ける理由がひとつ減ったからです。
けれども、長期的にドルを見た場合、必ずしも経済サイクルや金融政策サイクルと一致しているわけではありません。とすると、今なお続いている、かなり長期に渡るドル高のメガサイクルがいつ終わるのか?といったことは、投資家にとっても関心の高い疑問ではないでしょうか。
アメリカ発の技術革新がもたらしたもの
マッキントッシュ先生はここで、米財務省の元エコノミストであるマービン・バース氏の説を紹介しています:
… and his basic thesis is that the U.S.’s leading position in academic research, and the close links of universities and business, gave the country a head start in computerization in the 1970s and early 1980s, in the internet in the 1990s and in newer internet applications and artificial intelligence more recently.
The Wall Street Journal:Why Is the Dollar So Strong? American Innovation
つまり、これまでアメリカの学術研究における主導的なポジションや、大学と企業との緊密な連携が、技術革新(イノベーション)においてアメリカに先陣を切らせることに繋がった、という主張です。
実際、1970-1980年代におけるコンピュータ化、90年代のインターネット、そして近年では新しいアプリや人工知能といった技術革新がありました。これらすべてがアメリカ発のイノベーションだったということは誰もが認めるところだと思います。
こうしたイノベーションが生まれると、それをビジネスにしようと投資が盛り上がります。このことがイノベーション企業の収益性を改善し、そのことが外国の投資家たちにとっても魅力的に映ったため、結果的にドルを押し上げる形になったというものです。一昔前ならIBMやMicrosoft、近年ではGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)などを思い浮かべると分かりやすいのではないでしょうか。
たとえば日本(アメリカから見たら外国)に住む我々が、こうしたアメリカのイノベーション企業に投資しようと思ったら、日本円を売ってドルに変換するステップが必要になります。この時、かならず「自国通貨売り&ドル買い」の構図になるため、世界各国からアメリカに投資が集まればドル高になりやすくなります。
この説の優れている点は、一時的な景気後退による中断を乗り越えて、どのようにしてドルの長期トレンドが続くかをうまく説明できることだそうです。
マッキントッシュ先生が珍しく、アメリカの底力を讃えていたのも印象的でした:
Even investors who don’t buy the innovation story can’t deny that the U.S. has done a far better job than the rest of the developed world in rebuilding its economy since the financial crisis.
The Wall Street Journal:Why Is the Dollar So Strong? American Innovation
「イノベーションによる経済牽引説を信じない投資家でさえ、アメリカが金融危機(2008年のリーマンショック)のあとの経済再建において、他の先進国よりもはるかに優れた成果をあげたということは否定することができない」
これは、本当に仰る通りだと思います。
リーマンショックで大きな痛手を受けたにもかかわらず、その後のアメリカの経済回復に目覚ましいものがあったことは事実だからです。そこから学ぶべきことはたくさんありそう。
ドル高のサイクルが今後も長期的に続くかどうか
ここで気になるのは「ドルの上昇トレンドがいつまで続くか?」ということですが、現在の時点ですでに、過去のどのドル高トレンドよりも長くなっています。具体的にいうと、ニクソン大統領が1970年初頭にドルの金本位制をやめて以来、幾度かあったドル高トレンドのどれよりも長く続いているとのこと。
それだけ長く続いたら、ドル高トレンドもそろそろ終わりではないか?と思えそうですが、バース氏は今回のドル高メガサイクルがさらに長く続く可能性があると考えているそうです。
彼が注目しているのは、現在のアメリカの設備投資の額が、GDPのうちの高いシェア比率で安定していることです。それによって、ドルは過去のような「急騰/破綻」サイクルをうまく回避できているといいます。また、研究開発(R&D)への投資も、GDP比で過去最高となっているそうです。
また、ドル高サイクルを延長させ得るもうひとつの要因として、脱グローバル化(※)があります。つまり、アメリカ国内に生産拠点を戻して、国際的なサプライチェーンを置き換える、という流れです。このことによって、アメリカの新規の発明が海外に拡散するリスクを防ぐことができる、という効果もあります。
※記事には脱グローバル化と書いてありますが、実際には中国を念頭に置いていると思われます。
今回のまとめ
以上のような背景をふまえ、冒頭の「いまなお続くドル高のメガサイクルはいつ終わるのか?」について、マッキントッシュ先生は、次のように締めくくってました:
- 短期的には、(恒例の)金利上昇と景気後退への不安がドルを揺さぶるだろう。
- 長期的には、アメリカが今後も対外的に経済的活力を維持することができれば、ドルが長く高いまま維持することもあり得る。
今回の記事を読むと、「断言はできないものの、長い目でみたらまだまだドルの上昇トレンドは続くかも知れないな~」と感じさせる内容でした。その根拠が、アメリカ発の技術革新だと言われると、なんか納得できるような気もしたのでした。
私もはやくドルコスト平均法はじめなくちゃ。(まだなんかいw)
残りあとラスト1回です!最終回、ぜひWSJ会に遊びにきてください〜☆
次回のWSJ会最終回は11/20開催予定です!
遊びに来てね〜♪
↓↓↓↓
11/20開催分:
【最終回】第15回 お金の知識が身につく英字新聞を読む朝会!英語脳を鍛えよう!
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