(つづき)
3万キロのお遍路
そもそも、なぜ私がワゴンRでロシア横断してアフリカまで走るなどというふざけた真似をしていたか?についてさらっと触れておきます。
表向きは「そこにユーラシア大陸があるから、そしてワゴンRがあるから」という登山家のような理由で通してましたが、本当は違います。いくら私だって、そんな背伸びするために命かけたりはしません。ただ、周囲にはなんとなく冒険野郎だと思われていたこともあり、誰からもツッコミは入りませんでした。しめしめ。みんな騙されとる。
というわけで真相ですが、私が旅に出た本当の理由は、20代後半で離婚してからずっと引きずっていたどうしようもない怒りと被害者意識を精算したかったから。まあ要するに自分でお遍路の旅に出たわけです。詳細は省きますが、前の夫とはまあまあイケてない感じの別れ方になってしまい、私は捨てられたことをずっと恨んでいました。早い話が「いつかぶっ殺したるわ」と思ってたわけです。こわー(゚∀゚)
でも、その怒りを持ち続けている事が自分にとってよくない事もどこかで承知してました。身体も不調だし男運もすこぶる悪いし、このままじゃ人生やり直すこともできないよなーと。そういう時は、ちょっとハードな旅をするとよく効く、というのを本能的に知っていたので、会社辞めて3万キロ走って頭を冷やすことにしたのでした。
ターニャの告白
というわけで、ターニャの話に戻ります。当時、ターニャはヴォロネジで夫のセルゲイと仲睦まじく暮らしていました。毎晩のように、セルゲイがギターを弾いて、ターニャが歌って。。。あの頃ですでに、結婚して10年くらいになると言ってたから、ずいぶんラブラブな夫婦だなぁと微笑ましく思っていました。
で、キッチンでお茶しながら、いつものようにターニャと女子トークしてたある日のこと、私が何かの拍子に「ちょっと聞いてー、前の夫にこんな感じで捨てられてさぁ。。。すごい許せなくてさあ。。。ターニャどう思う?」みたいな愚痴をポロッとこぼしたんです。
それはひどいわ!って言ってほしかったんだけど、そうはならなかった。
代わりに、ターニャがとんでもない打ち明け話をしてくれました。
「ナオコ、あのね、これ内緒の話なんだけどね。実はセルゲイには子供がいるの」
「はい!!?」
「セルゲイが仕事の関係で、遠くの街に出張することになってね、そこで浮気して相手の子を妊娠させてしまったのよ。」
「はいいいいーーー!?」
「でも、生まれた子供は彼女のほうで育てることになった。あのときは大変だったけど、セルゲイが帰ってきてくれたから、私はそれでいいの」
「いいの!?それで!!?Σ(゚Д゚)」
「うん。私はセルゲイがいなかったら生きていけない。それに、彼に子供ができたことは、セルゲイにとって自信になったみたい。」
「どういうことーーーーー!?」
「ほら、私達ってずっと子供がいないでしょ。でもセルゲイは子供を作れるってわかった。だから私が不妊治療を受けることにしたの。私、彼の赤ちゃんを産みたいわ」
。。。。それって。。。こんなニコニコしながらできる話なんかい。。。
いやでも、ターニャは天使のような微笑みを浮かべながら、実に幸せそうにセルゲイへの愛を語るのです。ああもう、私には分からない。だけどターニャが1ミリもセルゲイを恨んでいないことは伝わってきました。ああ本当に分からない。アンタを殺して私も死ぬ!とかならんのかい。ターニャ、あんたは天使か。さては天使だな。ちくしょう、ロシアで天使に会うとは思わなかった。まぶしすぎる、助けてくれ。
まあ、その話は当時の私には理解不能なほど崇高であったので、聞き流すしかできませんでした。その時に私がフォーカスしてたのはターニャの美しさではなく、セルゲイのダメンズさ。うおおおおセルゲイのアホーーー!こんな素敵な嫁さんを泣かすんじゃねーぞゴルア!と心の中で思いました。ほんとに。
こんなふうに、何でもかんでも男性側に責任転嫁したい気持ちが、知覚の歪みとなって現れていたわけですね。いつまでも前夫への恨みをひきずるってると、世界がそんなふうに見えるという。そりゃ男運もないわけだよ。
あな恐ロシヤ。
(つづく)
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色々深掘りしたい!っていう私の野次馬根性を、「あな恐ロシヤ」で終わらせた、naochkaさんに乾杯いや完敗🤣
人生は楽しんだもん勝ちなので、今が楽しいのが1番ですよね💕
いやー、あの時はさすがに話聞いててフリーズしました。。。😅
本当はもっと生々しい顛末を詳しく話してくれたんだけど、ダイジェスト版でこんな感じです。
怒りしかなかった私が、愛の側に振り切れてる人と出会うなんて通常あり得ないので、やっぱりお遍路の威力はすごいなと思いました。笑