8/23。
8/21に開催した「第12回 Wall Street Journalを読む会」の開催報告です。(正式名称:【初参加無料】第13回 お金の知識が身につく英字新聞を読む朝会!英語脳を鍛えよう!)
気がついたら第12回!いつのまにか一年経ってたんですね〜!!こんなマニアックな会を続けてこられたのは、ひとえにディープな参加者さんたちに恵まれたお陰です。ありがとうございます!(≧∀≦)
※WSJを読む会についてはこちら。
今回の記事:ふつう、景気が後退すると求人も減るはずなのに、いまはなぜか「景気後退気味なのに人手不足」という謎現象が先進各国で次々に起こってますよ。。。というお話。
Weak Growth, Tight Job Markets Are a Global Phenomenon
(注:有料記事なので先頭しか見られません)
WSJ会でやったことを振り返ってみます。
雇用豊富な景気後退ってどういうこと?
今年に入ってから、アメリカでは「雇用豊富な景気後退(jobful recession)」が話題になったそうです。
Talk of a “jobful recession” has centered on the U.S., where payrolls grew by more than half a million in July and the unemployment rate declined to its prepandemic low of 3.5% even as economic output contracted in the three months through June. The same conundrum crops up around the world.
The Wall Street Journal:Weak Growth, Tight Job Markets Are a Global Phenomenon
そう言われるようになった理由は、アメリカの4-6月期の経済アウトプット(GDP)が縮小したにもかかわらず、失業率はパンデミック前の水準である3.5%に到達したから。つまり経済成長は落ち込んでいるのに、失業してる人が少ない=人手不足だということです。
ふつうなら、景気悪くなったら失業者は増えるはずなのに、なぜか失業者が少ない。。。??このような謎現象がいま世界中で起こっている、といいます。
たとえばドイツでは、(天然ガスの供給をロシアに頼っていたために)エネルギー逼迫による景気後退に直面しているそうです。なのに、ドイツの失業率は過去40年なかったほどの低水準だとか。また、ニュージーランドでも今年に入ってから景気後退が見られたにもかからわず、失業率は何十年かぶりの低さなのだそうです。
それまでの経済の常識とは逆を行くような現象が同時多発的に起こっている。。。
なにやら不気味ですね。
でも、そのブキミ現象が30年前から続いている超珍しい先進国があるといいます。
しかも、我々にとって非常になじみ深い国です。
それは。。。。
日本なんだって!!(゚∀゚)
日本の失われた30年との共通点
まさかここで日本が引き合いに出されるとは思わずビックリしましたが、興味深い記述なので引用します:
Still, subdued growth may coincide with ultralow unemployment more often in coming years, judging by the country that experienced it first. For three decades Japanese growth has been low or negative, averaging 0.8%, but its unemployment rate has never been more than 5.5% and has ratcheted steadily lower since 2010 to stand at 2.6% now—close to its prepandemic low of 2.2%.
The Wall Street Journal:Weak Growth, Tight Job Markets Are a Global Phenomenon
実際この30年間というもの、日本の経済成長は「低成長 or マイナス成長」という残念なものでした(平均して0.8%成長だそうです。「失われた30年」とも呼ばれます)。にもかかわらず、同じ30年間で日本の失業率が5.5%を超えたことはなく、今ではなんと2.6%です。海外では失業率が10%を超えることも珍しくないというのに。
というか、こっちはそれが当たり前だと思って暮らしてきたので、そんなふうに考えたことはなかったけど。。。
確かに海外から見たらヘンテコな国だと思われてもおかしくない状況です。
しかし、今年に入ってそのヘンテコな状況が海外でも多発するようになったため、いまや日本は重要参考事例として見られているというわけですね。
この謎の逆転現象で30年前から先陣切ってる日本と、今年に入って同じ目に遭いつつある各国に共通して見られる現象を経済学者が分析した結果、「労働人口の高齢化」と「労働移民の受け入れが少ないこと」が挙げられるとのことでした。
たしかに、日本は以前から高齢化や外国人受け入れに消極的な傾向はありました。じゃあどうして今になって他国までそうなった?という理由については、「世界的なパンデミックが日本以外の多くの先進国を同じ状況に追い込んだ」ということらしい。(=高齢者が感染を避けるために労働現場から離れたり、海外からの入国を制限したり、ということが世界的に起こったから)
他にも複雑な要因はいろいろあるでしょうが、突然世界のあちこちで日本のような現象が頻発するということは、やはりパンデミックは無視出来ない要因だったわけですね。
失業率はずっと低ければいいのか?
ただし、日本の失業率が低い根本的な理由は「日本の雇用制度が海外とは異なるから」だそうです。日本の多くの企業は従業員を簡単に解雇できないため、他の先進国よりも失業率が低くなります。WSJでは、この点についても言及がありました:
While sustained low unemployment is generally a boon, Japan’s experience also shows the downsides: It means that the economy isn’t able to quickly direct workers to growth areas, which can limit “creative destruction”—the elimination of obsolete industries so that new industries can grow.
The Wall Street Journal:Weak Growth, Tight Job Markets Are a Global Phenomenon
一般的に、失業率が低いことは良いことだとされています。だけど日本の前例はそのマイナス面も示している、という指摘です。何かというと、低い失業率が長く保たれる弊害として「労働者を速やかに成長分野に向かわせることができない」ということが起こるからだそうです。
本来、長期的な経済成長を目指すのであれば、時代の流れについていけなくなった企業や産業は市場から退場させられ、新しい企業や産業が成長していくべきなのですが、この話題は日本ではほぼタブーになっています。平たくいうと、我々日本人が企業や産業の新陳代謝を望まないため「競争力がなく、補助金で生き延びているようなゾンビ企業は潰しましょう」とは言えない空気になっているとのこと。
その結果、日本では世界でもまれに見る失業率の低さが維持されています。ですが、その代償として、競争力が落ちた分野に労働人口が据え置かれる状態が続き、より稼げるはずの成長分野が育ちにくくなっている。だから日本は、いつまでたっても儲からない=給与があがらない、という残念なことになってるんだとか。。。
このように、衰退産業を淘汰して成長産業に労働力を再配分することを「創造的破壊(creative destruction)」と言うそうですが、アメリカを始めとする諸外国ではこれをガンガンやってきたといいます。そのせいで、一時的に失業率が10%を超えたりする事がたびたび起こるものの、すぐに新たな成長分野が台頭してきて以前よりもっと稼いで経済成長する、という仕組みだったんですね。
そうか、日本はずっとこの痛みを避けてきたのか。。。
そうは言っても、「自分の会社が潰されるくらいだったら低い給与を受け入れるほうがいい」と感じてしまう安定志向の国民性も理解できるので、複雑な気分でした。
まとめ
今までぼーっと生きてたので、そんな事になってるなんて全然知らなかった私。
この記事を読んで、日本が経済成長から取り残されている本当の理由が垣間見えた気がするのは私だけでしょうか。
WSJは、こういう話をサラッと書いてくれるから面白いです!
次回のWSJ会は9/18開催予定です!
遊びに来てね〜♪
↓↓↓↓
9/18開催分:
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